タイムマシーン

ファーストフード店で気軽にするような話ではない

結局、近所の公園に来た


夏の終わりの夜
風も吹かず 、星も見えず
半分の月だけが見える




「甲斐、悪かったな」

「いや」





「―篠崎」

顔があげられない


「ごめん」



「この前は悪かった。
……あと、ずっとごめんな」



『ずっと』




「………あたし、気付かない間に小宮くんに
何かしてたのかな?」


「篠崎は何もしてない。
オレが…勝手に勘違いしてて馬鹿だっただけだ」


よく分かんないけど…



「詳しくは甲斐から聞いてくれ。
情けないけど、まだ自分の口から言えるほど…
覚悟がないんだ」




覚悟?



「コレ」と言って小宮くんはポケットから
人形をだした


同窓会で見た、ウサギの人形



「コレ、嬉しそうに触ってたから」

ウサギを受けとる




「同窓会をきっかけに、
また皆で定期的に集まるんだ


…甲斐と一緒に来いよな」




「……うん」



「じゃあな」
それだけ言って、小宮くんは歩きだした


あ…


「ウサギ!」


小宮くんの足が止まった




「………ウサギ、ありがと」


小宮くんは振り向かずに右手をヒラヒラさせて
また、歩いて行ってしまった


< 97 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop