はぐれ少女と吸血鬼
目覚め
----眩しい光で目が覚める
見慣れない天井、心地の良いベッド、嗅いだことのない心安らぐ香の香り。
まだ完全に覚めていない頭を動かし、首を横に傾ける。
フェルが寝かされているベッドの周りには美しい彫刻が施されたテーブル、イス、クローゼット、飾り棚などその他様々な家具が置いてあった。
天井は雪のように真っ白で、壁は薄いクリーム色という落ち着いた配色だった。
窓はステンドガラスになっているらしく、外から差し込んだ光が色とりどりの色となって床に落ちていた。
…どうやら誰もいないようである。
重い上半身をやっとの思いで起きあげさせ布団から出る。
服がレースがふんだんに使われたネグリジェへと変わっていた。
(ここ……どこ……)
ベッド横のサイドテーブルには昨夜までフェルが着ていたボロボロの服が綺麗に縫い直され、新品の品物のように置いてあった。
とりあえず着替えてネグリジェをたたむ。
その時、ふと気付いた。
--シャラッ
首に付いている異物に。
少し慌ててドレッサーの前に立つ。
「なに…これ…」
首輪のような物だった。
小さな薔薇の華がいくつか付いており、そこから短い鎖が垂れ下がっていた。
首の周りの部分は固く、おそらく金属で黒い薔薇の茎をイメージしているらしく、トゲの細工がしてあった。
だが、それを触ってみても取れることはなかった。
取りはずしできる部分がなかったのだ。
引っ張っても叩いてみても、首にあとがつくばかりで一向に動く気配はなかった。
だが、それ以上に目がいったのは、