はぐれ少女と吸血鬼
-ガチャッ
「あ、起きた?」
突然の音に驚いてドアの方を見る。
「物音がしたから……服ももう着替えたんだね」
ニコッと笑う彼はとても優しそうな印象だった。
つむじ辺りから毛先にかけて、白銀から黒の美しいグラデーションの髪の毛。
柔らかな声と穏やかな口調からして悪い人には見えなかった。
「あ、あのっ、こ、ここここっ、ここって、えと、あのっ…」
「ああ、ここは僕の家。そんなに怖がらなくてもいいよ?まあ焦るのも無理はないさ」
ハハッと笑う彼。
息を吸って、吐いて、呼吸と焦る感情を抑えながら尋ねる。
「わ、私は昨日の夜森の中を歩いていたはずなん、ですけど、なんであなたのお家で寝ていたんですか?」
「ああ、それはねー、」
なんて言えばいいのかなー…、と唸っている彼。
突然答えを探し出したように、笑顔で顔をあげた。
「君があまりにも綺麗だったから、妖精さんかと思って連れて帰ってきちゃった」
あはっ、と首を少し傾げる
「つ、連れて帰ってきちゃった…って……そ、そんな…」
「まあいいじゃない。君自身傷だらけで相当弱ってるみたいだったからさ」
……
(そ、そんなあ……)
「ああ、自己紹介が遅れたね。僕はシャーサ。この家の主さ」
「あ、私はフェルといいますっ。えっと、昨晩は泊めていただきありがとうございましたっ。でも、もう行かなきゃならないのでもう失礼しますね」
ばっとお辞儀をしてドアへ向かう。
ドアノブへ手をかけた瞬間----
--ダンッ
「どこ行くの?」
「へっ?」