偽りの婚約者
「…私の両親と同じだったから、賢人の元カノにイライラしたの…!勝手に私を産んで、勝手に離婚して…私を捨てた大っ嫌いなあの両親みたいで!」
今まで、蓋をしてきたことが一気に
溢れ出し、感情が抑えられなくなる
「親に一度も愛情を注がれたことなんてなかった!『お前なんかいらない、はやく消えろよ』って毎日そればっか言われて、普通の家庭なら温かくて居心地がいいのが当たり前なのに…私にはその居場所さえなかった…!近くで支えて欲しいときに誰もいなくて…っ」
「もういい…大丈夫だ…今は俺がいるから一人じゃない」
そう言って抱きしめてくれた
「っ…うん…」