偽りの婚約者
第4章
「羽花、荷物車に詰め終わったし行くぞ」
「うん!」
「あ、そうだ羽花」
「なに?」
「明日、お見合いの日だって昨日言ったよな?」
そういえば、『また明後日お見合いの予定入れられて…』って言ってたっけ
「うん」
「それでだ、明日羽花を親父に紹介する」
「え⁉︎」
「なに驚いてんだ?そのための『婚約者』だろ。で、より親父を信じ込ませるために羽花に婚約指輪を買おうと思ってな」
「でも私2ヶ月間だけの『婚約者』なのに指輪買っても無駄になっちゃうよ?」
「別にいいんだよ…お見合いで結婚するよりよっぽどマシだ」
そんなもん…なのかな
お金持ちってわかんないな…
「ってわけで今から買いにいくぞ。ほら、早く乗れ」
「うん…」
いいのかな本当に…
・・・・
車を走らせること数十分有名な宝石店に着いた
「いらっしゃいませ〜」
「この子にピッタリの婚約指輪…ありますか?」
「婚約指輪ですね。この辺なんてどうでしょう?」
「わあ〜」
めっちゃ可愛い!…高っ!え、なにこんなに高いの⁈
「どうだ羽花?」
「もう少し安いので…」
「値段なんか気にしなくていいんだぞ?」
うーん、どうしよう
「…じゃ、質問変える、この指輪気に入ったか?」
「…うん」
「よし、これ下さい」
「はい、少々お待ちください…では指輪のサイズを測りますね」
「お願いします…」
「…9号がぴったりですね、9号ならお店に在庫ありますが…今お持ち帰りになりますか?」
「今持って帰ります」
「かしこまりました」
そういってお店の人はケースから出してくれた
「こちらで間違いありませんか?」
「はい」
ピッピッピッ
「50万円になります」
「一回でお願いします」
「一回ですね……一回でおきりしました」
「こちら商品になります。ありがとうございました〜」
「賢人ありがとう」
微笑むと賢人も
「どういたしまして!」
と、笑ってくれた
ふと、疑問に思ったことを聞いてみる
「ねえ、賢人なんか…こう…んー、始め会った時と口調違う?」
「あぁ…始め会った時ときは紳士みたいだったのに…ってか?」
「うん(笑)」
「やっぱこれでも社長だし、ちゃんとしてないとな、俺がチャラチャラしてたら会社に問題あるんじゃねぇか?とか思われても困るしな」
なるほど…
「あとさ…あんなに大っきい家なのにお手伝いさんとかっていないの?賢人一人?」
「あぁ…そうだ」
「掃除とか大変じゃない?」
「大変だけど掃除嫌いじゃないしな」
「そっか」
「まあ、去年まではいたんだけどな、お手伝いさん」
「…辞めちゃったの?」
「そんなとこ…だな」
なんかにごされちゃった
あんまり深入りはしない方がいいよね…
「えーと、あとは帰るだけ?」
「帰るだけ」
…あれ?
「賢人、仕事は?」
「今日は特に予定入ってなかったから大丈夫だ」
「そっか」
「じゃ、帰ったら明日の事を具体的に話すからな」
「わかった…」
あー!今更だけど緊張するな…
明日無事に終われますように…!