偽りの婚約者
第5章
家に着き…
『明日の説明するから荷物置いたら俺の部屋に来い』…というわけで、
一応ノックした方がいいかな…
コンコン
「入っていいぞ」
「失礼しまーす」
「とりあえずここ座れ」
「うん」
何言われるんだろ…
「明日のことだが、親父が俺にお見合いさせたい女を連れてくる、あと女の父親も来るって言ってたな…で、お前はとにかく俺の言うことに頷け、動揺とかすんなよ?」
「う、うん…がんばる」
「あ、なら今から言うことに動揺すんなよ?練習だからな」
「流石にそう言われて動揺なんてしないよ!」
ちょっと怒り気味にいうと、賢人はなぜがニヤニヤし始めた
「もうっなんなの!」
「いや、なんでも。じゃいくぞ…俺と結婚してください」
すごく真剣な目…って
「はい⁉︎」
なんで結婚⁉︎
「おいおい、明日大丈夫か?」
「え⁈だって結婚なんて聞いてないよ!」
「思いっきり動揺してんじゃねぇか…」
やれやれ、と溜息をつく賢人
「そんなこといわれても…!」
「あのなぁ…『婚約者』ってことは、この人と結婚しますって言ってるようなもんなんだからな?」
「それは…そうだけど…」
急に言われるとびっくりするよ…
「でも、その赤くなった顔はいいと思うけどな…りんごちゃん♪」
「りっ…⁉︎」
「ぷっ…くくっははははっ今のひでー顔」
そう言って賢人はひーひー言って笑い転げてる
なんか、年上の社長って感じしないな…
同い年の男の子みたい…
ようやく笑いをおさめた賢人が
「ま、なんとかなるだろ…羽花、手出せ」
「こう?」
「違う逆の手」
そう言うとさっきの指輪をはめてくれた
「俺と結婚してくれますか?」
「っ…はい…」
演技だってわかってても…!
「お前耳まで赤いぞ?」
「う、うるさい…」
「ついにりんごじゃなくて猿に進化したか?(笑)」
「なっ、んなわけないでしょ!だいたいりんごから猿に進化するのなんて無理ですから‼︎」
デリカシーないな、まったく!
「腹減ったー、お前飯作れるか?」
腹減ったって…りんごだの猿だの言って明日の説明はどこにいったんだ…まあ、賢人がいいならいいのかな
「もちろん作れるよ、一人暮らしだったし…」
そう言うと、一瞬、賢人が悲しそうな顔をした…ように見えた
けど、もう一度見てみると、いつも通り
…気のせい?
「なにぼーっとしてんだ?さっさとキッチン行くぞ」
「あ、うん…」
・・・・
と、いうわけで
キッチンに来た私と賢人
で、早速賢人が
「今日のメニューは、肉じゃがと豚汁な
」
「え、和食なの?」
「なに不思議そうな顔してんだ…」
「…てっきり洋食かと思って」
「俺は和食が好きなんだ、悪いかよ…」
「いやいや!全然いいよ、和食作るの得意だし」
「おお、いいことだ。じゃこれから2ヶ月間毎日和食三昧か…」
「え…⁉︎毎日和食!⁉︎」
「お前、和食作るの得意なんだろ?ならいいじゃねぇか」
「いいけど…たまには洋食も食べたいかな」
「仕方ねぇな…なら週4回和食、3回洋食、これでどうだ?」
「オッケー!」
「じゃ、お前は肉じゃが、俺は豚汁担当な」
「はーい」
・・・・
「できた〜!」
うん、なかなか上手くできた気がする
「よし、俺も完成したぞ!」
・・・・
「「いただきます」」
もぐもぐもぐもぐ
「肉じゃがなかなか美味いぞ」
「よかった…豚汁も美味しいよ」
「当たり前だ、俺が作ったんだからな」
「なんか賢人、どんどん化けの皮が剥がれてきたね(笑)」
「お前に言われたくねぇよ。昨日会った時はあんなにしおらしかったのに…こんな猿になっちまって…」
「誰が猿ですって⁉︎」
「ほら、キーキーうるさいし」
あからさまに不快そうに耳を塞ぐ賢人
「誰のせいでこうなってると思ってんのさ!」
「誰のせいだろうなー」
なんていって、ニヤニヤしてる
「もう…」
なんか怒る気なくなっちゃった
と、こんな具合で夕食の時間は過ぎて行った…
「「ごちそうさまでした」」
「…食器は食洗機に入れとけ」
「りょうかーい」
「さて、俺はシャワーでも浴びるとするか…お前も今日は明日に備えて早く寝とけよ」
「うん」
いよいよ明日か…
不安を抱きながら、寝る準備を進めた