王子なカノジョ。
午前中の授業終了のチャイムが学園に鳴り響き、がやがやと様々な会話が交わされる。

私はいつものように、1人お弁当を持って廊下へと出る。楓は、彼氏と屋上でお弁当を食べるし、私は静かな所で食べたいから──…

教室を出て廊下を右に進むと階段がある。
その階段を上がってすぐ右手の部屋

そこは“第一音楽室”

昼休みはめったに生徒が出入りしないこの教室が、私のお気に入りの場所──…

教室にいると、女の子たちがお弁当やら
お菓子やらを持って集まってくるから…

悪い気はしないし、「ありがとう」と一言添え、ポンと女の子の頭を撫でてやりでもすれば、頬を赤らめて嬉しがってくれる。

その様子は正直、可愛いと思う。

けど私は、女の子を恋愛対象としている訳ではないし、女の子に欲情もしない

ただ、男にも興味はない。

そんな事を考えながらボーッと窓の外を眺めていた。

視界に入ったのは、男子生徒に言い寄られる転入生、神宮寺 誠──…

おーおー
モテてるモテてる…

男だと分かってても、あの容姿に
バカな男達は惹かれるのだろう

男子制服さえ着ていなければ
男だと思わないよなー。


そう──。

私がぱっと見、女の子に見えない様に…ね


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