今日から私は彼の同居人
『まるでお嫁に行くような台詞だね』


彼の言葉を反芻し、昔のことを思い出して赤面した。



『わたし、純にーちゃんのお嫁さんになる!』



まだ小学校低学年の頃だ。

恋愛の「れ」の字も知らないコドモのくせに、時々そんな言葉を口にしていた。


しかしそれが恋愛感情出なかったとしても、私は彼のことが好きだったことには変わりない。


その後中学、高校と成長するにつれて恋愛らしいこともあり好きな人もいないではなかったが、実るものはなかった。


それにしても少々恥ずかしい過去である。


私が例の台詞を口にする度に純兄ちゃんは弾けるような満面の笑みを返してくれた。

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