うさぎ君の恋わずらい


「お、お前…名前は?」



赤い髪をした男子生徒が
訝しげな顔で見下ろしている
その理由は
この瞳の色と髪の色のせいだろう
ふぅと一息ついて口を開いた瞬間
転びそうな足音が聞こえ
背中に大きな衝撃が走る


「燕!!!おいてくなんてひどい!!」



「げ!!増えた!!」



全く同じ顔をした子が増えて
男子生徒がたじろいだ。



「巫女杜 燕だ。こっちは双子の妹の雀。」



「燕の知り合い??」



半べそをかいていた雀が燕に聞き返す。



「巫女杜って………巫女杜 鴇先輩の妹か??」



かつあげされていた生徒が
大きな声をあげた。



「てことは…鴎の妹……」



赤髪の男子生徒もぽつりと呟く。



「まぁ、そうなるな。
雀、そろそろ行かないと入学式遅れる」



何事もなかったように
雀の手を引っ張り昇降口へと向かって歩き出す。


その後ろ姿を
赤髪の男子生徒が
黙って見つめていた。




こうして彼らは出会った。





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