琴宮荘
「あれ?そういえば宮辺さん、僕って……」

「え?あっ!すみません!私つい敬語が抜けてしまって!」

やってしまった、というような顔でオロオロする宮辺さん。

「宮辺さん可愛い」

「えっ!?」

「別に敬語じゃなくて大丈夫ですよ。むしろ私が敬語を使わないといけないんですから。私のことは、美波って呼んでください!」

少し顔を赤くして、宮辺さんは小さい声で私の名前を呼んだ。

「み、美波」

「はい!」

「じゃ、じゃあ美波も、僕のことは柳彦って呼んでください」

恥ずかしそうに微笑む宮辺さん……もとい!柳彦は、初めて年相応な表情を見せた気がした。

「柳彦がそういうなら!これからよろしくね、柳彦」

「こちらこそ、よろしくね。美波」
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