また会える日まで。
「なに考えてたんだよ」
「…」
なんとなく言いたくなくて黙っていると、ヒロくんは穏やかな表情であたしに微笑んだ。
「もしかして…"アイツ"のこと?」
「…そうだよ」
「お前も一途だなぁ」
そう言って困ったように笑うヒロくんの顔を見つめる。
「いいじゃん別に」
「別に悪いとは言ってないよ」
「ヒロくんは…好きな人とかいないの?」
そう聞くと、ヒロくんは大きく目を見開いてあたしを見た。
…ヒロくんとこんな話するの、いつぶりだっけなぁ。
そんなことを考えながら返事を待つ。
「いるよ」
「…え」
少し驚いて顔を上げると、ヒロくんは空になったアイスコーヒーのグラスをじっと見つめていた。