SHE IS MINE(2014年七夕短編)
7月4日[SHE IS MINE]
皆さんこんにちは。
どうも、夢見がちな少女です。
あ、乙女でもいいですよ?
今日は7月4日。
織姫と彦星が会えるらしい
七夕が近づいて来ましたね。
“七夕”といえばわたしには
ある記憶があります。
10年前、幼なじみのお兄ちゃんが七夕の夜に
『僕が織賀ちゃんのこと迎えに行くから!』
というクサい台詞を最後に
この街からいなくなった記憶です。
4歳の女の子に
8歳の男の子が言う台詞とは
到底思えませんよね。
だけど、夢見がちなわたしは
7月7日になると毎年欠かさず
お星様にお願いするんです。
──会いたいです、彦星様。
今年は迎えに来てくれますか?
写真もあまりないし
お兄ちゃんの顔なんて
あまりよく覚えていないけど
夢見がちなわたしは今でも
お兄ちゃんに恋しているんです。
でも、
さすがに連絡先もわからない
相手を待ち続けるのは
無謀だと思うので、
このことは忘れますね。
もっと現実的な恋を
したいと思います。
サヨナラ、わたしの彦星様。
サヨナラ、わたしの初恋。
あなたに関する記憶を
抹消しますね。