SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「何時に終わる? 迎えに行く」
「えっ! いいです!! ひとりで帰れます!!!」
「どーせ、織賀ちゃんは僕のことをナンパだって思ってるんでしょ? どうやったらそうじゃないって信じてくれるの?」
「………」
口調がやけに真剣で、何も言えなかった。
「とりあえず、ナンパさんじゃないってことはわかりました」
「まだ疑う気?」
そりゃ、疑うでしょうが。
きれいな顔を持つと頭が回らなくなるのか?
「だってわたし、あなたの名前も知らないしあなたにわたしの名前を知られている理由もわからないし…」
「そっか。本当に“覚えていない”んだ…」
「は…」
ミステリアスだわ、この美青年。
狙ってやってるの?
こういうタイプの男、ちょっと苦手だな。
「バイト。遅刻しないの?」
「はっ!」
引き止めたのはあなたでしょうが!
わたしはとりあえずバイト先とバイトが終わる時間を美青年に伝え、急いだ。
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