SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「あのっ、わたしの家知ってるんですか!?」
どんどん進む美青年に問いかける。
「僕は、織賀ちゃんのことならなんでもわかるよ」
わたしは怖くなって足を止めた。
なにこれ。ホラー?
確かにこの美青年は色白だし血が通っていないという可能性もあるかもしれない。
怖いって。怖いって!
「…織賀ちゃん?」
「マジあんた何者なの? わたしの名前呼ぶ前に、家まで送る前にやることがあるでしょ?」
もー、怒った!
名を名乗れ、名を。
顔がきれいだからって、無礼なことして許されるわけじゃないんだから!
「本当に“覚えてない”の?」
くるりと振り返った美青年はわたしにぐいっと顔を近づけてそう言った。
わたしの怒りなんか無視して顔色声色一つ変えず。
「は…」
「じゃあ、こう言ったらわかるかな。僕は星司(セイジ)。“星司お兄ちゃん”だよ」