SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「セージ、お兄ちゃん?」
「そう。星司お兄ちゃん」
う~ん。知り合いに、そんな名前の人がいたような、いないような。
“お兄ちゃん”ってのも引っ掛かる。
わたしにはお姉ちゃんはいるけどお兄ちゃんはいないし。
もしかして、腹違いのナントカ、とか!?
うわっ。めっちゃ昼ドラ~。泥沼~。
「どう? 織賀ちゃん。思い出した?」
「…わかんない」
“星司お兄ちゃん”は、テレビでよく見る“ズコー”って効果音が聞こえそうな感じでずっこけた。
なるほど。
美青年はお笑いもわかっていると。
「この顔だよ? 見たことない!?」
“星司お兄ちゃん”はさっきより更にわたしにきれいな顔を近づけた。
「うわああ! 近いって、近いってぇ~」
わたしの中に美青年に対する抗力はないから!