SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「織賀ちゃん顔真っ赤~。かわいい~」
「う、うるさいっ!」
“星司お兄ちゃん”に対して顔を赤くしたんじゃなくて美青年に対してだから!
「ほんとに僕のことわからないの?」
「…ハイ」
「残念だなあ。織賀ちゃんが僕のことを思い出してくれないと話が進まないんだよね」
話とはなんぞ…。
「まあいいや。今夜は僕の顔を思い浮かべて悶々とすればいいさ。そのうち思い出すでしょ」
悶々…。
「頑張ります」
「いいぞいいぞ~。その調子だよ」
な、何かヤバい美青年に捕まっちゃったみたいです。
“星司お兄ちゃん”はさっき言ったようにわたしの家までの道のりを知っているようで、わたしの数歩先を歩いていた。
それはそれは堂々と。
時間がないときにする近道もそっくりそのまま。
まるで“わたしのすべてを知りつくしている”かのような足取りだった。