SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「僕の文章力、ヤバいね。国語が苦手なのはこの頃からか」
なんて言って自分でウケちゃってるし。
「あなた、本当に星司お兄ちゃんなんですか?」
星司お兄ちゃんが近所にいた(らしい)ときの記憶はないけど、やっぱり信じられない。
「しょーがないなあ」
そう言って星司お兄ちゃんがカバン取りだしたのは大学で使っているらしいノート。
表紙には、手紙の字からは想像できないくらいきれいな字で【穂高星司】と書かれていた。
きれいな顔とぴったり。
「まだ信じられない?」
わたしはなにも言ってないのに、彼は今度は学生証を出した。
「へえ」
なんて、興味もなさそうな反応をしたが、それは本心を隠すためで。
“証明写真はきれいに写らない”ってよく聞くけど、彼には例外らしい。
やっぱり、美青年は何をしても美しいのだ。