SHE IS MINE(2014年七夕短編)
星司お兄ちゃんはびっくりしてたけど、そんなの知らないっ!
「これ、なあに?」
星司お兄ちゃんの目の前でバッと例のビニールの包み紙を掲げた。
「…なんでしょう」
星司お兄ちゃんは明らかに包み紙の正体を知っているような反応。
「ちょ、知ってるなら教えてよ!」
「織賀ちゃんが自分で思い出さなきゃ意味ないでしょ?」
確かにそうかもしれないけども。
自力で思い出しても、今教えてもらっても、過程が違うだけで結果は同じだと思うんだけど。
「さすがに何年も前に食べたものなんて覚えていられないよ…」
お姉ちゃんが言うにはわたしが4歳の頃のことらしいし。
無理があるって…。
「織賀ちゃんが思い出さなきゃ話が進まないんだってば~」
だから、話ってなんぞや。
星司お兄ちゃんは甘えた口調でそう言うと、ふわりとわたしを抱きしめた。