SHE IS MINE(2014年七夕短編)
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大好きな背中が遠ざかっていく。
わたしが2年前に消し去った、12年前の記憶。
星司お兄ちゃんがわたしの誕生日の7月7日にこの街を去った。
待てど暮らせど戻って来ない星司お兄ちゃんのことを想って、わたしは星に願ったの。
──会いたいです、彦星様。
今年は迎えに来てくれますか?
それでも星司お兄ちゃんは姿を現さないから、わたしは2年前にあなたの関する記憶を消去した。
それが、一気に頭の中に戻ってきて、混乱する。
──『僕が織賀ちゃんのこと迎えに行くから!』
そしてわたしの意識は覚醒した。
「っ……!!」
ん。
…部屋?
確か、学校終わってから星司お兄ちゃんに会いにR大学に行って。
なぜわたしがわたしの部屋に?