SHE IS MINE(2014年七夕短編)
「コレ、俺のだから」
肩の辺りに手を添えられ、グイッと抱き寄せられた。
脳内に残るのは、甘い響きを持つ男性の声。
ん? んんん?
なぜわたしの望みが叶っちゃってんの?
ええい、疑問は残るけど流れに乗って、ナンパ男を撃退してしまえ!
「わたし、この彼と今からデートなので」
ナンパ男はふたり揃って「チッ」と舌打ちすると逃げるように去っていった。
「ありがとうございます、助かりました」
お礼を言い、顔をあげると…。
「大丈夫だよ。キミがすごく困っていたように見えたから」
目の前にいる物腰柔らかな、美青年がそう答えた。
「………」
この世のものとは思えない美しさに思わずみとれてしまった。ついでに言葉も失った。