SHE IS MINE(2014年七夕短編)


「来いよ」


「ちょ、ちょっと!」


星司お兄ちゃんはベンチに座るわたしを立たせ、手首を乱暴につかんだ。


純一のことなんかまるで見えていないかのようにお構い無しにわたしを引っ張る。


「ご、ごめん純一! また学校で!」


わたしは星司お兄ちゃんに強制連行されてしまった──。


「ちょっと、星司お兄ちゃん。どーしちゃったの?」


無言で歩き続ける星司お兄ちゃんの背中にわたしは疑問を投げた。


ショッピングモールを抜けて、今は周辺の道にいる。

大丈夫なの?コレ。


ヤクザのアジトに連れていかれたりとか、乱暴されたりとかしないよね…。


いつも──といってもここ数日だけど、彼が今みたいに乱暴な振る舞いをするところは見たことがない。


むしろどんな小さな仕草も、その容姿にぴったりな美しいもので。


だからそんな星司お兄ちゃんを見て、わたしはかなり驚いた。


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