Sweet Rain

少女のナミダ

雨の勢いはまだ治まりそうになかった。

昨夜の予報はやっぱり外れたな、心の中で誰ともなしにぼやいていた。

弟はベッドの横で寝息を立てていた。

持っていた寝袋に包まり、平和そうな寝顔を浮かべている。

彼女にはベッドの上で寝てもらうことにした。

僕が使うのが筋といえば筋だが、女の子を弟と同様の扱いにするわけにもいかなかった。

僕はというと、ベランダに出てやまない雨を眺めながらタバコをふかしていた。

雨雲とタバコの煙の区別がつかなくなる。

目を擦ってみても、まだはっきりとしなかった。

昨夜の弟の言葉が頭に蘇った。

冗談とも取れぬ物言い、本当であるならば僕の生きる現実とは程遠い場所にあるような、別世界のことのように思えた。

弟はその現実を正面から受け止めていた。

僕とは正反対だ。

それにしても一体どういうつもりなのか。

彼女を連れて、僕のところにまで来て、一体これからどうするつもりなのだろう。

僕を頼って何かが変わるとでも思ったのか。

何か変化を求めたわけではなかったのか。

もしかしたら、それこそ突発的に、軽いノリに身をまかしてしまったのか。

真相は未だ不明だった。

昔から雨の降る日はたいてい良い事が起きない、というジンクスがあった。

言いかえれば、悪いことが起こる。

世の中には良いことか悪いことか、その二つしかない。
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