Sweet Rain
駅前まではバスで一本だった。

バスの窓には雨粒が途切れることなくへばり付いていく。

バスを降りしばらく歩くと、待ち構えていたかのように小さなレンタカーショップが見つかった。

土日のバイトは急な帰省のためと偽って、無理に休ませてもらうことにした。

「普通車を3日間、貸しきりたいんですけど」と、言うと店員のお兄さんは愛想良く対応してくれた。

小回りのきく小さめのタイプの普通車を借りると、弟を助手席に彼女を後部座席に乗せ、ひとまず市内から出ることにした。

「とりあえずさ、県外まで出てほしいんだ。道はそれからまた言うよ」

弟は地図を見ながら僕にそう伝えてきた。

車内にはナビも装備されていたのだが、弟がわざわざ地図を借りていたのだ。

彼女は僕の背後に座り、窓越しにじっと外を見つめていた。

僕は言いようのない居心地の悪さを感じながらワイパーの動きを一段速めた。
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