新撰組 『時が変わろうとも』

「ん…」

目を開けると見慣れた天井

「気がついたか?」

「斎藤さん、俺」

「池田屋で倒れたんだ」

「池田屋…」

っ…、思い出した、俺は池田屋で、人を…人を…

「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」

人を斬った感触がまだ手に残っている。もう手についてないはずの血が、ついているように見える

「血が…血が血が!」

必死に手を擦る。赤くなるくらい手を擦る

「取れない。取れない取れない取れない!」

「神崎!」

ギュッと斎藤さんに手を握られた。

「大丈夫だ。大丈夫。だから今は思う存分泣け」

ギューと抱きしめられる。斎藤さんの手の温もり。斎藤さんの体温

それに安心して涙腺が緩む。

「ヒクッ…さ、斎藤さん…ヒクッ」

「大丈夫だ。大丈夫」

そう言って斎藤さんは優しく頭を撫でてくれた
< 81 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop