新撰組 『時が変わろうとも』
ドキッ!
な、なに?今の?今心臓がドキッ!て
「神埼どうかしたか?」
「い、いえ、別に」
あれは一体なんだったのだろうか?
「今日は満月だな」
斎藤さんの言葉に顔をあげる。確かに今日は満月だ。
けど、
「俺は、満月は嫌いです」
「?なぜだ?」
「満月は、いつも真っ暗な夜の闇を明るくするから。それが、俺の心の闇も明るくしそうで嫌いです。俺に明るい世界は合わない。明るい世界で生きてちゃ駄目なんです」
満月はどんな暗闇でも明るく照らしてしまう。
だから、
「満月は嫌いです」
「神埼は明るい世界で生きてもいいのではないか?」
一瞬何を言い出すんだこの人は、と思ってしまった
「あのー、斎藤さん?俺の話聞いてました?」
「ああ、聞いていた」
「じゃあ、何で…」
「俺から見るに、お前は過去に何かあった。それも自分のせいで」
「っ…」
息がつまる。そうだ、だから俺は幸せになれない。
「だが、お前は過去に囚われすぎだ。過去の事を引きずって何になる。お前の犯した罪が消えるのか?」