アナザー・ミー
ましてや、車の通りすらない。自分の家の前はそこそこ大きい道路のため、人や車の通りがそこそこあるはずなのだ。だが、今は誰も、何もいない、まだ午後8時前だというのに。

まるで、別の空間に自分達だけ行ってしまったかのようだった。そして、彼女がバックから出した手が持っている物を見て不安が確信に変わった。

「死んでください。」

彼女は子供に話しかける時のような笑みを浮かべながら、そう言って引き金を引いた。

パンッ!!

乾いた音が1つ、脳内で響いた。
全身から力が抜けていく、思考の歯車がかけ落ちていくかのように意識が遠退いていく。
強い睡魔のようなものに襲われる感覚、それに抗おうにも抗えずその眠気に似たものに身を任せ、深い深い闇に沈んでいった。
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