ありがとう さよなら(短編)
「…………、ッ…取った」
私の手の中に納まった指輪をギュッと握り締める
下へ…、下へと落ちる私---
地面にもうすぐたどり着いてしまうというのに、何故か私は怖くはなかった
相馬君から貰った指輪があるからかもしれない---
ギュッと握り締める手の中から、相馬君が抱きしめてくれた時の温もりを感じる
相馬君は私の事なんてどうでもよくなって、今は五十嵐さんを好きになってしまったのかもしれない
でも…
そんな事、今はどうでも良くなっていた
私は…
私はこの指輪から相馬君の愛を今、感じる事が出来たから---
相馬君
幸せになってね…
私に愛を与えてくれて
--ありがとう--