ありがとう さよなら(短編)
ドクンッ、ドクンッ…---
心臓がありえないくらいの鼓動を上げる
まるで心臓が飛び出てしまうんじゃないかってくらい
前がボヤケテ見えなくなってきた
それでも走る
人にぶつかろうとも、それでも俺は走らなくちゃいけないんだ
「沙良ッ!」
死ぬなよ。ぜってー、死ぬんじゃねぇーぞッ!!!
走って走って沙良の周りに集まった人間の間を潜り抜け、ようやく沙良の前にたどり着いた
「さ…ら………ッ」
沙良の周りはどす黒い血の海になっていた
そんな事など物ともせず、俺は沙良の前に跪きそして抱きしめる