ありがとう さよなら(短編)
『相馬君』
愛しい人の声が耳元で聞こえた気がして、俺の身体がピクリと動く
「沙良?」
『相馬君、大好きだったよ』
「………ッ」
『ありがとう、さよなら…』
そう聞こえた瞬間 辺りが一瞬、白く包まれた気がした
沙良?
風がフワリと俺の頬にふれ、そしてそれはすぐに優しく離れていく
俺から沙良が離れていくのを感じた
逝くな…
逝かないでくれッ!
「沙良ーーーーーッ!!!!!」
ポツッ…
ポツンッ…
俺の叫びに反応したかのように、曇り空から水が落ちてきた
ポツッ…、ポツポツポツッ…---
ザァーーーーッ…---
いつしか雨が降り始め沙良の周りにいた人達は離れて行く
そして、俺と沙良の二人きりになった