ありがとう さよなら(短編)
「沙良」
ポツリと俺の口から零れ落ちる名前
そして…
ゆっくりと沙良に顔を近づけ…
キスをした
冷たい唇が悲しい
ゆっくり、ゆっくりと顔を離しながら沙良の顔を伺い見たが、物語の王子様のように姫を起こすことは出来なかったなと顔を歪ませる
ピーポーピーポー…---
遠くでサイレンの音が聞こえる
もうすぐ、俺の手元から沙良が離れていくのだと感じて強く沙良を抱きしめた
「沙良、ありがとう。大好きだ」
誓いのように額に唇を寄せ口付ける
「お前以外、もう愛さない」
そう呟きもう一度、沙良の温もりを感じた
【相馬君SIDE END】