俺様王子様
寮に戻るとまだ未月は帰ってきていないようだった。
正直少しだけホッとした。

「はぁー…。いつからこんなになっちゃったのかな」

未月と出会ってから、未月に振り回されっぱなしで、だけどいつの間にか未月を好きになって。
それまで恋を知らなかったあたしだったのに、今は未月のことでいっぱいでどうやってひとりの時間を過ごしたらいいのか戸惑う。

そんなことを考えていると、未月が帰ってきた音がした。

「…おかえりっ‼︎」

あたしは未月に言った。

「…ただいま」

未月は少しだけ驚いたようだった。

「なんか、久しぶりだな。朱莉におかえりなんて言われるの」

未月はそう言った。
でも、いつもの未月とは違ってどこか寂しそうな感じがした。

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