俺様王子様
「だって未月の隣にはいつも神藤さんがいたから」

あたしがそう答えると、未月は目を伏せた。

「ねぇ、未月。ちゃんと教えて?知りたいの、未月のこと」

好きだから、ちゃんと未月の口から聞きたい。
好きだから、未月のことを知りたい。

「…そんな簡単に話せるかよ」

返ってきたのはその言葉だった。

「神藤さんとはどんな関係なの?」

それでもあたしは食い下がった。

「…緋音とは…。父親が緋音と俺を結婚させたがってる。」

「未月はそういう人がいながらあたしと付き合ってたってこと?」

「違う」

「じゃあ何なの?」

「何なのって…」

「遊びで付き合ってたんじゃないの?」

「そんなわけねーだろ」

「じゃあ未月はあたしのこと好きなの?」

あたしは、今まで聞かなかったことをついに口に出してしまった。
一言”好きだよ”って言ってくれるだけでいい、そう思いながら。
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