俺様王子様
「そう思ってなきゃ一緒にいない。…いちいちそういうの口にしなきゃいけないわけ?」

なんだか心が凍るような、そんな気がした。

「…未月にとってはいちいちなのかもしれないけど、あたしにとってはいちいちなんかじゃないよ」

未月はそれでも黙っていた。

「…なんかあたしばっかりバカみたい」

ポロっと溢れた。
絶対こんなこと言うもんかって思ってた。

「なんだよそれ。朱莉は自分ばっかりって思ってたんだな」

更に突き刺さるような言葉が未月から出た。

「あたしは、あんたの周りの取り巻きとは違ってきちんと言葉に出してもらわなきゃあんたの気持ちなんてわかんないの!」

こらえていた涙がぽたぽた頬を伝う。

「それはあんただって同じなんじゃないの?たかが金持ちのボンボンなだけのくせに人の気持ちまで読めるわけ?」

あたしも酷いことを言った。
だけど後悔はしなかった。
< 108 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop