俺様王子様
「桜村さーん!勝ったよ‼︎」

三咲くんは隠れているあたしを簡単に見つけると、両手を振って言った。
あたしは周りの女の子の視線を感じつつ、控えめに手を振り返した。




中庭のいつもの場所に座っていると、伝えてなくても三咲くんは当たり前のように来てくれた。

「お疲れさま!…ちょっと温くなっちゃったかも」

あたしは買っておいたスポーツドリンクを三咲くんに渡した。

「さんきゅ!」

三咲くんはそれをすぐに開けて飲んでくれた。

「すごいね!全勝だったね!」

「んー!今日は頑張った、かな?」

三咲くんの笑顔がちょっとだけ眩しく見えた。

「三咲くん、モテるんだね!全然知らなかった」

「まあね!」

「…調子乗りすぎ」

そうやって普通にあたしたちは話した。
その時、あたしはハッとした。

(これか飾らないでも一緒にいられる相手なのかな?)
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