俺様王子様
前に進まなきゃ
「そう…ですの」

あたしの話を聞いた杏菜ちゃんは神妙な顔つきで言った。

「でも、朱莉ちゃんはそれで納得できますの…?」

「できないよ、まだ。でも事実は変えられない。だからあたしは前を向かなきゃいけないの」

「…」

「そーんな顔しないでよ!あたしもさ、杏菜ちゃんと恋バナいっぱいしたいし、ノロケたりもしたいから!」

あたしはそう言った。

いっぱい悩んだけど、未月はとてつもなくお金持ちの家の跡取りであたしはごく普通の家の娘なのは生まれた時から決められた運命で、変えられない事実。
悲しいけど、どんなに好きでもかなわないものがあるんだってわかった。
だからあたしは前を向かなきゃいけないんだって思った。

「恋って苦しいんだね!…あたし人を好きになったことがなかったから知らなかったよ」

あたしがそう言うと、杏菜ちゃんは切なそうな顔をして頷いた。
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