俺様王子様
部屋に戻ると未月の荷物が少しだけまとめてあった。
それを見てドイツに行くのって本当なんだなぁと思った。

あたしは音を立てないように自分の部屋の扉を閉めた。

杏菜ちゃんと山神くんみたいに、未月と神藤さんはドイツに行って婚約を済ませるのかな。
そしていずれ、未月は会社を継いで神藤さんと結婚するんだろう。

(あたしには関係ないことじゃん)

そう思うのに、なぜか頭から2人のことが離れなくてあたしは寝付けなかった。


「朱莉ちゃん、顔色悪いですわよ?」

心配そうに杏菜ちゃんはあたしの顔を覗いた。

「うん、だいじょ…」

大丈夫、と答える前に視界が歪んですぐに真っ暗になった。


「…大丈夫?」

目を覚ますと三咲くんがベッドの脇に座っていた。
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