俺様王子様
パタンとドアの閉まる音がした。
未月はディナーに出かけたに違いない。
あたしはしばらく聞き耳を立てて、部屋が静かになったのを確認して自分の部屋のドアを開けた。

「はぁ…」

扉を開けると三咲くんが壁に寄りかかっていた。

「あ!出てきた!」

「どーしたの?」

「すごいねー!このフロア‼︎ホテルとそう変わんないじゃん」

キョロキョロしながら三咲くんは言った。

「どうせ桜村さんのことだから、町屋くんがいるうちは出てこないだろうなーって。だから、迎えにきた」

にこっと笑いながら三咲くんは言うけど、その言葉があたしの心にじわっと広がった。

「…でもさー、来たはいいけど桜村さんのケー番とか一切知らなくてここに着いてからそれに気づいた!」

おどけて見せる三咲くんに、プッと吹き出してしまった。
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