俺様王子様
結局、渡せないまま学校が終わってしまった。

(友達なんだから、気軽に渡せばいいだけなのに何してんだろ…)

そう思いながら教科書などを鞄に詰めた。
隣の席の三咲くんはもうすでに部活に向かったのか姿がなかった。

(本当にバスケ好きなんだなー)

そう思ったら思わず笑みがこぼれた。
今のあたしは、本当に穏やかな気持ちで毎日を送れている。
前ほど未月と神藤さんが一緒にいるのを見てもあんまり心がチクチクしなくなったし、未月のこともそこまで考えなくなった。

不思議だな。この間まではこの世が終わるんじゃないかってぐらいに悲しかったのに。

(これも三咲くんのおかげなの…かな?)

あたしは三咲くんの机をもう一度眺めた。
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