俺様王子様
未月は黙って俯いたままだった。
友達友達とさっきからお父様は言っているけど、もしかしたらあたしの気持ちにお父様は気付いているのかもしれない。

(一緒にお祝いって、正直キツい…)

表情ひとつ変えない未月の隣にぴったり寄り添う神藤さんを横目にあたしは思った。

「あの、えっと…。せっかく家族でお祝いをしているのに、私が入ってしまうとお邪魔になると思います。」

意を決して言葉を放つ。

「未月さんには本当に親切にしていただきました。慣れない学園生活も未月さんのおかげですぐに慣れることができましたし、勉強を教えて頂いたりもしました。初めてだらけで不安しかなかった私にいつも手を差し伸べてくれました。本当に感謝しています」

みんながあたしのことを見ながら、あたしの拙い言葉を聞いてくれた。
あたしは未月を見る。
未月もまっすぐあたしを見ていた。

「………ありがとう、未月。神藤さんと幸せになってね」

嘘でも偽りでもない。
素直に思ったことを口にした。
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