俺様王子様
これがあたしの変えられない運命なのだとしたら、素直に受け入れるしかない。
だけどせめて未月には幸せになってもらいたい。そう思った。

「これ以上いると、お邪魔になってしまうので私はこれで失礼します。お招きいただきありがとうございました。」

あたしは深々と頭を下げると屋敷を出た。
門までがとてもとても長い。
ぽたぽた涙がこぼれた。
こんな時なのに気付いてしまった。





やっぱりあたしは未月が好き





なんとか寮に戻ると、陽介くんがいた。

「あれー?出かけてたの?俺はさっき部活終わったとこで…」

あたしの顔を見た陽介くんは心配そうに顔を覗き込んだ。

「なんかあった?」

「ごめん、陽介くん」

「え?何が?」

「やっぱりあたし、未月が好きみたい」

泣いてぐしゃぐしゃな顔をして、あたしは言った。

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