俺様王子様
「町屋くんは、成績優秀でクラスメイトからも慕われていただけに、突然決まったドイツ行きにわたしたちクラスメイトも驚きを隠せません」

あたしは、すうっと息を吸ってそう言った。

「わたしは、町屋くんと寮が同部屋と言うこともあり他のクラスメイトよりも長い時間を共にさせてもらいました。わたしは外部受験だったので、戸惑いも多かったし分からないことだらけだったけど町屋くんが手助けしてくれたおかげで今ではすっかり学園生活にも溶け込めています。…本当に感謝しています」

そうスピーチしている間に、未月とのいろいろな事が頭の中を駆け巡った。
学校では王子様ぶってて、最初は何度偽王子と思ったことか。
自分勝手で、ムカつくことも多かったけど繋いだ手はあったかかった。
優しいキスもいっぱいくれた。

そう思い返したら、言葉に詰まってしまった。
そんなあたしの様子に、他の生徒たちがざわめき始めた。

(もう、本当にお別れなんだ…)

涙が出そうになったけど、ぐっとこらえた。
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