俺様王子様
「ほんのちょっとの間しか見てなかったけど、そんな朱莉のことが忘れられなかった。」

突然そんなことを未月に言われてなんと答えたらいいのかわからない。

「同部屋になったのも、俺がちょっと工作したからだ。それぐらい朱莉のことが気になってた」

「ええーっ!たまたまじゃなかったの?」

「んなわけねーだろ!」

未月が笑う。
いつもの未月の笑顔。
久しぶりに見る、笑顔。
こんな時なのに、胸のドキドキは止まらない。

「………留学はする」

未月はそう呟いた。

「でも、朱音とは結婚できない」

未月の視線を辿ると、そこにはお父様が立っていた。

「悪いな、朱音」

未月は神藤さんにそう告げた。
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