俺様王子様
「町屋未月(まちやみづき)です。3年間よろしく」

あたしの目の前に現れたのは、町屋未月という男の子だった。

「え、どーゆーこと…?」

「ごめんなさい。うちの祖母が学園長なんだけど、サプライズ企画で100人目に入って来た子と同部屋だなんて言い出したもんだから…」

申し訳なさそうに彼は言った。

「でもよかった!朱莉さんみたいな方で。これなら僕も安心です。とりあえず僕達の部屋に行きませんか?案内します」

彼はにっこり笑った。
女の子たちの刺さるような視線の中、あたしは彼について行くしかなかった。

一緒にエレベーターに乗る。
隣に立つ彼は、まつげも長く、髪もサラサラ。身長も高くて王子様のよう。
女の子が騒ぐのもうなづける。

「はぁ…」

しばらくすると、彼はため息をついた。

「てゆーか、あんたさ。わかっててわざと狙ってたんじゃねーの?」

「へっ?」

さっきの口調とは全く違う彼にびっくりして声も出ない。

「俺と同じ部屋になりたかったんじゃないの?」

不敵な笑みを浮かべる彼。
王子様のようなんて一瞬でも思った自分を殴りたくなった。
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