俺様王子様
「でもやめた」

「はぁ⁉︎よこせって言ったのあんたでしょ」

あたしが言い返すと

「あんたじゃなくて、未月。それ、朱莉が食べさせてよ」

「なんでよ」

「俺の話シカトしたから」

むすっとした顔で未月は言った。
確かにあたしは未月の話をシカトした。
だからスコーンを半分割って未月に差し出した。

「違う」

「違うって食べさせてって言ったの未月じゃん」

未月は割れたスコーンを咥えると、もう片方をあたしの口の前に持ってきた。
未月の視線が咥えろと言っている。
顔が近いのと未月のオーラでとても断れそうにない。
仕方なくあたしはスコーンをパクッと咥えた。
未月はそのままスコーンを食べる。
柔らかい前髪がまぶたに触れる。
きれいな顔が近づいてきて、あたしの鼓動は加速する。
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