俺様王子様
「まーたため息?」

その声の主は三咲くんだった。
制服姿かバスケ部のジャージ姿の三咲くんしか見たことがなかったけど、今日の三咲くんは黒いタキシードをばっちり来こなしていた。

「三咲くん⁉︎」

「じゃなかったら誰なわけ?」

「制服姿しか見たことなかったから違和感!」

「それ言ったら桜村さんだって!…でもすごく似合ってる。町屋が選んだの?」

「知らない…。着ろって言われて着ただけだし、ここにくるまであたしもパーティーに参加するだなんて知らなかったし」

あたしは下を向いた。

「…なーんかこういう場って何回来ても慣れないんだよね!俺」

「あたしなんて初めてだよ、こんなパーティー。てゆーか三咲くんもセレブだったんだね」

「一応ねー!俺、製紙会社の御曹司だからねー!でもぶっちゃけこういう場は苦手‼︎バスケしてたほうが100倍楽しいのに」

そう口を尖らせた三咲くん。
テスト15点だったくせに御曹司なんてなんだかおかしくて笑ってしまった。
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