俺様王子様
翌日、教室に着くなり、山神くんが現れた。


「杏菜、イギリス行くってマジなのか?」

「ええ、本当ですわ」

「いつ帰ってくる?」

「わかりません。」

「もしかして…」

「ええ。たぶんあなたの思ってる通りだと思いますわ」

あたしは、なんのことだかさっぱりわからなかった。
山神くんはしばらく黙ってから、

「杏菜!俺と結婚しよう」

と言った。
ぎゃーっと悲鳴のような声が混じる教室。
あたしは話がぶっ飛び過ぎててますますついていけない。

「ええ。わたくしでよければ」

杏菜ちゃんは大きな瞳をうるうるさせながらそう答えた。
そこからの山神くんと杏菜ちゃんはバタバタ忙しく職員室で手続きやら何やらで教室にいないことの方が多かった。
< 67 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop