俺様王子様
最悪だ。
結局入学式にも出られなかったし、初めてのキスもあんなやつに無理やりされて終わってしまった。

この学園に入って、友達作って、いつかは誰かを好きになって、付き合って、好きな人とファーストキスをするもんなんだって思っていた。
それなのにあんな二重人格のニセモノ王子様と同部屋で、無理やりキスされて。
実際は、思い描いていた学園生活とは全く違うものだった。

「うーっ…」

思わず涙が溢れた。
あたしは枕に顔を当てた。
緊張もあったのか、皮肉にもふかふかなベッドが気持ちよかったのか、あたしはいつの間にか眠ってしまった。



「はっ」

目が覚めると窓の外は真っ暗だった。

「寝ちゃってたんだ…」

携帯を見ると21時。
楽しみにしていた夕食の時間もとっくに過ぎていた。

「最悪。楽しみにしてたのに」

備え付けてあるドレッサーを覗くと、目がちょっと腫れていた。

「酷い顔…」

あたしは、用意して来たお風呂セットとパジャマを持ってバスルームに向かうことにした。
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