俺様王子様
「うわぁぁーん!でもやっぱりお別れは嫌だよおー」

我慢できなくなってあたしは子供のように泣いてしまった。
つられて杏菜ちゃんも泣き出した。


「鏑木がよければ、朱莉の部屋に泊まれば?」


そんなあたしたちを見ていた未月が言った。

「え?いいの?」

「話したいことたくさんあるんじゃないの?朱莉は」

ふっと微笑んで未月は言った。
杏菜ちゃんと話したいことたくさんある。
でも、そんなの未月に言った覚えはなかった。

「杏菜ちゃん、お泊まり来てくれる…?」

明日旅立ってしまうから、無理かもしれないと思って恐る恐る聞いた。

「もちろんですわ!たーくさんお話ししましょう」

と杏菜ちゃんは言ってくれた。
杏菜ちゃんは、明日の準備を済ませるとお泊まりセットを持ってあたしと未月の部屋に来てくれた。
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