俺様王子様
部屋のドアをそっと閉めて、そろりと歩く。

「風呂入るの?」

気配を消していたつもりだったのにあっさり気付かれていた。
あたしはくるりと振り返り、未月を睨みつけた。

「うわっ!ひでー顔」

笑いながら未月は言った。

「誰のせいだと思ってんの⁉︎全部あんたのせいよ!あんたのせいでめちゃくちゃ!」

「なんで俺のせいなんだよ」

悪びれもなくそう言い放つ未月が許せなかった。

「……ったのに‼︎」

「はぁ?聞こえねーよ」

「初めてのキスだったのにっ!」

あたしは握りしめていたヘアバンドを未月に投げつけてバスルームに駆け込んだ。

「…最悪っ」

とりあえず気持ちだけでも落ち着けよう、そう思ってお風呂に浸かった。
お湯が温かくて気持ちが良かった。
それに、ミストサウナもついていて、体がすっきりした。
悔しいけど、これも未月と同部屋だからだろう。
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