俺様王子様
寮に帰ってずっと部屋にいたけど、未月が帰って来ることはなかった。



学校へ行く足取りは重いけど、それでもあたしは教室に向かう。
もう未月は席に着いていて、その姿を見て少しだけ安心した。
だけど未月のそばには神藤さんがいつもいて、あたしの入る隙などなかった。
そんな光景を見て、溜め息しか出ない。


「はぁ…お金持ちの考えてることってさっぱりわかんない」


中庭のベンチに腰をかけると思わずそんなセリフがこぼれた。

「それに、未月も未月だよ!…何にも言ってくれないし」

ついこの間本当のカレカノになれたと思ったのに。
未月はそうは思ってくれてなかったのだろうか。

「あれっ?…やだな、あたしったら」

いつの間にか涙が頬をつたっていた。
未月にとって、あたしって何だったんだろう。
彼女だって思ってくれてたら、神藤さんにきちんと話してくれてるはずなのに。
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